財団の活動事例

東日本大震災被災文化財の救援・復旧事業

東日本大震災と財団

 2011年3月11日に発生した東日本大震災に際して、財団は当初から文化庁と協力し、被災文化財の応急手当てともいうべき文化財レスキュー事業を展開してまいりました。

 東日本大震災被災文化財救援・復旧支援事業は5年間を予定していたのですが、結果的には今日まで続いております。この間、個人、法人等の方々から合わせて4.5億円余の義援金をあずからせていただきました。

 東日本大震災では津波による被害が大でした。その象徴ともいうべきものが、宮城県気仙沼市の風待ち地区の建造物です。崩壊した男山本店店舗の映像を眼にした方は多かったのでは・・・と思います。財団はエルメス・ジャポン様の協力も得て、これら風待ち地区の国指定の文化財である建造物の復元工事を支援いたしました。この秋、風待ち地区は大震災前の姿に戻るということです。

 東日本大震災では津波の被害を受けた多くの地区が、祭礼用の用具が流失したり、破損して、土地に伝わる祭りを催すことが出来ませんでした。祭りは人々の心を癒し、昂ぶる力をもっています。財団はこうした背景を考慮し、伝統的な地元の祭礼の復活のための支援金も拠出しております。

 財団が取り組んだ支援事業の中で最後まで残ったのが作家の京極夏彦氏から寄せられた寄付金、いわゆる「京極ファンド」の有効活用でした。京極氏の要望は紙の被災文化財の修復、保存のための救済に使ってほしいというものでした。

 津波によって水損した古文書類の修復は困難の多い作業が待ち受けています。そうした中、東京国立博物館名誉館員で保存科学者の神庭信幸氏のご助言も得て、財団としては、陸前高田市の「吉田家文書」の修復を助成することとしました。その模様はまた改めてお知らせいたします。

東日本大震災被災文化財救援・復旧支援事業の内容

ページトップへ